機関誌エデュフロント バックナンバー

2026年6月 Vol.49 教育シンポジウム in 東京2026(第30回)

2026年6月表紙

サブタイトル

将来を見すえ、教育の課題に向き合う

特集内容

 「教育シンポジウム in 東京2026」は、「将来を見すえ、教育の課題に向き合う」 を全体テーマとし、「総合プログラム」と「特別支援教育プログラム」で構成された。 「総合プログラム」では、次期学習指導要領の方向性について確認するとともに、 これから考えていくべき課題や、学校や授業で今からできることについて、様々な事 例を交えながら議論がなされた。また、「特別支援教育プログラム」では、次期学習 指導要領の「多様性を包摂する学校教育」という方向性等を踏まえて、発達障害を含 む多様な子どもが在籍する通常の学級の学びの充実に焦点を当て、議論がなされた。

目次等

総合プログラム 次期学習指導要領の方向性 ~今からできることは何か~ 【基調講演①】 「生成AI、GIGA スクール時代の学習指導要領改訂 ~検討の背景と方向性~」  武藤 久慶 文部科学省初等中等教育局 教育課程課長 【基調講演②】 「次期学習指導要領の方向性 ~今から学校や授業でできることは何か~」  秋田 喜代美 東京大学名誉教授         学習院大学文学部教育学科 教授 【トークセッション】 「次期学習指導要領の方向性 ~今からできることは何か~」  コーディネーター   市川 伸一 東京大学名誉教授                   帝京大学中学校・高等学校 校長  パネラー       溝上 慎一 学校法人桐蔭学園 理事長                   桐蔭横浜大学 教授             武藤 久慶             佐藤 敦子 目黒区立上目黒小学校 主任教諭             中村 麻里那 茨城大学教育学部附属中学校 教諭 特別支援教育プログラム 発達障害を含む多様な子どもが在籍する通常の学級の学びを支える             ~次期学習指導要領の方向性を踏まえて~ 【行政レクチャー】 「発達障害を含む多様な子供が在籍する通常の学級の学びを支える  ~次期学習指導要領の方向性を踏まえて〜」  近藤 修史 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 特別支援教育調査官 【講演】 「多様性を包摂する学校とは ~次期学習指導要領を踏まえて~」  野口 晃菜 一般社団法人UNIVA 理事 【トークセッション】 「発達障害を含む多様な子どもが在籍する通常の学級の学びを支える  ~次期学習指導要領の方向性を踏まえて~」  コーディネーター   田中 裕一 神戸女子大学教育学部教育学科 教授                   元文部科学省特別支援教育調査官  パネラー       近藤 修史             野口 晃菜

取材概要等

開催方法:オンデマンドによる動画配信 配信期間:令和8年3月9日(月)12:00~ 31日(火)20:00 主  催:公益財団法人 中央教育研究所 後  援:東京都教育委員会,茨城県教育委員会,      神奈川県教育委員会,群馬県教育委員会,      埼玉県教育委員会,千葉県教育委員会,      栃木県教育委員会,長野県教育委員会,      新潟県教育委員会,山梨県教育委員会,      株式会社時事通信社 協  力:株式会社学習調査エデュフロント,      東京書籍株式会社

内容紹介

(本文より)  PISAやTIMSS、全国学力・学習状況調査等の結果に示されているように、日常生活や職業 との関連、自分の考えをもつことができているか、好きを見付け、伸ばせているかといっ たことが、わが国の子供たちの相対的な弱点だと思います。これからさらにグローバル化 が進み、自分と異なる常識や価値観をもつ人たちと一緒に仕事をしていく中で、これらの 弱点に対して、もう少し具体的かつ明示的にアプローチしていきたいとも思うわけです。 学びと生活や仕事との関連や、自分が興味や関心をもったものを深掘りしていくような探 究的な学びなど、様々な角度からアプローチしていく必要があるのではないでしょうか。 子供たちの学びの動機付けのアップデートを意識的に行っていく必要があるのではないか と思います。 (武藤)  心理的安全性を基盤として、深い学びに進んでいくためには、単元や課題の内容をどう デザインするかが大事になります。自己との関連があり、なぜ学ぶかの目的がわかり、切 実感がある、教科の見方・考え方や中核的概念を育む、基礎・基本の概念の習得とそれに 基づいた挑戦的な課題が含まれる、そのような真正な課題をどうデザインするかが重要で す。 (秋田)  「主体的な学び」を育てる教師・指導についても考えたいと思います。学習の内容、 方法、意欲を自らコントロールするには、かなりの知識や経験が必要です。(中略)指導 とは可能性を広げるためのリソースであり、指導によって児童生徒の体験が広がり、自分 の可能性や好みも広がって、主体的な選択ができるようになるのではないかとも考えてい ます。 (市川)  「学びに向かう力、人間性等」は、どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を 送るかという、未来や社会に向けた方向性に当たると思います。未来を見ながら日々に も戻りますし、日々の中にも未来を見るので、スパイラルになっていると思います。 (溝上)  目黒区は文部科学省から研究開発学校の指定を受け、すべての区立小学校で「40分授 業午前5時間制」を実施しています。(中略)40分授業で生み出した時間を活用して、 本校では、3~6年生が自分の興味・関心に基づくテーマを決め個人で探究する「はか せタイム」に取り組んでいます。これは、各教科等に該当しない活動時間で、論点整理 の「『好き』を育み、『得意』を伸ばす」ことや、学習の「自己調整」に対応した活動 だと捉えています。 (佐藤)  2年生の国語科の意見文を書く単元での実践についてご紹介します。立場によって 多様な考えが想定される事柄についてテーマを設定し、生成AIを活用して取り組みまし た。反論想定の論法を意見文に取り入れて書く際に、反論を考えるのが難しいという 実態があったので、生成AIを「多様な他者の一人」として位置付け、思考力を鍛える ためのツールとして活用しました。「あなたは○○です。○○の立場から、△△(異 なる立場からの主張)という主張と、そうなる理由を教えてください」というプロン プト例を示し、説得力のある論理的な文章を書くための突破口としました。 (中村)  障害のある子供たちへの支援に当たっては、まずは通常の学級において、障害のある 子供たちをはじめ様々な面で配慮が必要な子供たちが在籍していることを前提として、 すべての子供に対する多様性・包摂性を尊重した学習者主体の授業づくり、学級・集団 づくり等の取組を進める必要があります。ここでは、指導方法の工夫がすべての児童生 徒の学びやすさにつながるという視点が重要です。 (近藤)  インクルーシブ教育の推進には、多様な子どもたちに合わせて学校を改革し続けるこ とが重要です。社会の側の障壁をなくしていくことが、共生社会を実現するためには必 須だということです。マジョリティ中心が「ふつう」である学校から、いろいろな子ど もがいることを前提とすることが「ふつう」である学校に変えていく、言い換えれば、 社会モデルの眼鏡を掛けて、基礎的環境整備や合理的配慮を通じて障壁をなるべく解消 していくことが重要になります。 (野口)  多様な子どもがいることをベースとして考えることによって、障害のある子どもに対 してのアプローチも考えやすくなるのではないかと思います。(中略)特別支援教育は 今まで、通常の学級における、その子どもも含めたわかりやすい授業づくりにずっと取 り組んできましたので、そのノウハウがまず使えるのではないかと思います。 (田中)
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