機関誌エデュフロント バックナンバー

2005年9月 第2回シンポジウムin東京記念講演録

表紙

サブタイトル

これからの学力育成と評価のあり方を考える

特集内容

 平成17年6月、文科省から「義務教育に関する意識調査」の中間報告が公表 された。PISAやTIMSSの相次ぐ国際的学力調査結果から、日本の子どもたちの 学力低下が指摘され、「総合的な学習の時間」は「ゆとり教育」見直しの矢面 に立たされている。本当に総合的学習は、学力向上をめざす教育改革に不要な のか。  本号は、現在の総合的学習のどこに問題があるのかという問いにも多くのヒ ントを与えてくれる。子どもたちに必要な「確かな学力」とは。またそれはど のような学習によって育成されるのか。学校教育、地域教育にも積極的に活動 の場を拡げる市川教授が、教育心理学の立場から具体的な実践例を示しつつ、 現代の教育の課題を明らかにしていく。  「第2回シンポジウムin東京」で多くの反響を得た記念講演の模様をレポート する。

講師紹介

東京大学教授 市川伸一  専攻は認知心理学・教育心理学。認知理論に基づいた学習過程の分析と支援、 教育方法の開発をテーマとし、積極的な研究・活動は、研究室の枠を超えて拡 がっている。元日本教育心理学会理事長、文科省中教審臨時委員などを歴任。

取材対象概要

日時:2005年2月20日(日) 会場:文京学院大学女子高等学校・ジャシーホール 主催:財団法人中央教育研究所 後援:東京教育研究所/(株)学習調査エデュフロント

内容紹介

(本文より)  90年代に新しい学力観が出てきたときに、教師は教え込むのではなくて支援 するのだということが盛んに言われました。それは、確かにそれまでの日本の 教育が教え込み、詰め込みに走り過ぎていたからです。その反動もあって、教 師はできるだけ教えない、子どもたちに考えさせ、討論させるということを単 元のごく初期からやり過ぎるようになったと私は思っています。(中略)難し いことをやっているわけですから、予習でいったん生わかり状態くらいになっ てもらって、そして授業で本わかりになる。つまり、予習で教科書を読んで、 「わからないところはここだ」ということをはっきりさせてから、授業で先生 に教えられたり、友達と討論することによって理解できるというプロセスがあ ってもいいと思います。そうして理解の定着を図ることの方が大事です。
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